知っておいて損はない!健保「海外療養費制度」ってご存知ですか?

海外旅行に行く際、忘れてはならないものにパスポートやクレジットカード等がありますね。

海外旅行保険はその中の一つ。

大きなケガが病気でなくても、例えば下痢や食あたり、歯痛や捻挫等で病院にお世話になることは多々ありますから必携です。

海外の医療費はびっくりするほど高額!

以下の表を見てください。保険が絶対必要なことがわかります。

救急車を呼ぶだけでもこんなにかかるとは!

日本と諸外国 医療費の差の例

国名
比較項目日本アメリカフランスタイ
救急車の
料金
公営無料123,000円5,900~7,300円
+走行加算200円/km
無料
民営通常利用しない123,000円5,900~7,300円
+走行加算200円/km
7,200~15,000円
初診料2,820円15,400~
16,400円
11,500~
17,200円
3,000~
4,500円
病院部屋代
(1日当たり)
個室30,000~
100,000円
204,900円126,100円33,500~
40,100円
ICU80,000~
100,000円
1,024,700円286,700円55,400円
虫垂炎手術の
治療費
総費用600,000円1,089,200円480,000円
平均入院日数4日間2日3日3日
骨折時の治療費
(橈骨末端閉鎖性骨折の場合)
20,000円40,100~
45,900円
30,000円

協力:聖路加国際病院 Nippon Medical Clinic American Hospital of Paris Bumrungrad International Hospital

https://hoken.kakaku.com/insurance/travel/select/cost/

最近では必要性を認識して渡航者の殆どは何等かの保険を持って海外に出ると思います。

クレジットカードには海外旅行保険が付帯していることが多いので

わざわざ別途に海外旅行保険に加入する人は多くないかもしれません。

そのクレジットカードで補償される一例には以下のものがあります。

  • 障害死亡と後遺障害補償(事故による死亡、後遺障害)
  • 障害&疾病補償(ケガ、病気の治療代)
  • 救援者費用補償(万一の時の家族渡航費用、捜索費)
  • 携行品損害補償(盗難、破損)
  • 賠償責任補償(相手にケガなどを負わせてしまった)

年会費無料で審査も厳しくなく保険が付帯しているカードには

エポス、楽天、JCBエイトカード等があります。



旅の中で一番必要になりそうなケガ&病気の治療代補償は各々100万から250万ほどです。

1枚では不十分でも2,3枚併用すれば安心ですね。

しかも一回出国して90日間は有効といいますから有難い!

(持っているだけで保険適用になるもの、旅費の一部をそのカードで支払いしていないと適用にならないもの等、細かい規定があるので事前に調べてくださいね。)

私は楽天ゴールドカードを持参しているのでわざわざ別に海外旅行保険には加入しません。

ですが、100日以上旅行する時はさすがに別途に加入しました。

実際に何かあって請求することになれば

1)カード会社に連絡する。

 (出国前にカード番号などの詳細と緊急連絡先をメモしておく)

2)できればキャッシュレス対応の病院を探してもらい予約もしてもらう。(必要書類等も聞いておく)

3)病院に行く

この中でポイントは現金払いしなくてもいい病院です!

立替払いをすると後々面倒になりますから。

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さて、前置きが長くなりましたが、

今日はクレジットカード付帯の海外旅行保険や一般の海外旅行保険のお話ではありません。

意外と知られていない「健康保険の海外療養費制度」のお話です。

健保の海外療養費制度とは?

海外療養費制度とは旅行中や赴任中に急な病気やケガでやむ終えず海外医療機関で診療を受けた場合、

健保に2年以内に申請すれば一部払い戻しを受けられるという制度です。

国民健康保険や公的な健康保険(組合共済含む)に加入している人なら申請可能。

(給付対象は日本と同じなので美容やインプラント等は対象外です)

この制度があると知っている人は多くないのでは?

海外旅行保険からも給付があって、健康保険からもお金が戻ってくるとは大変魅力的ですね。

しかしです。これにはかなり煩雑な手続きと審査があるので、

ちょっとしたケガや病気、短期滞在者にはあまりおすすめはできないかも。

手続きは?

主な流れは 申請→審査(数カ月)→結果通知 。

申請には以下の書類が必要です。

  • 申請書
  • 添付書類(最低3枚から5枚 担当医に記入してもらう所定書式の内容明細書や所定書式の領収書、領収書原本)
  • 渡航期間がわかる書類(パスポートなど)
  • 各添付書類の日本語訳
  • 現地に照会してもいいという同意書

各書類には細かい規定があるので全ての書類を完璧に仕上げて提出するのには

かなりの時間と労力が必要になりそうです。

一般の海外旅行保険給付申請の場合は現地での診療明細や領収書を提出するだけでOKかと思いますが、

健保は公的機関なのでかなり書類の規格が厳しいみたいです。

担当医に日本の申請書に記入してもらうにはそれなりの時間がかかると予想されるので

一般的に海外に中・長期で滞在していている高額医療費を支払った人に向いている制度と言えるでしょう。

高額支払保険金例から見る医療費

以下の表をご覧ください。

え???と思うくらいの高額の保険金。Σ(・ω・ノ)ノ!

諸々の経費を含めると支払われた保険金は実際に支払った金額を全てカバーしているのかどうかまではわかりません。

こんな事故や病気のケースは滅多にないよね、と思われるかもしれませんが、

ピースボートに乗船した時はいくつか似たようなケースを実際見ましたし、若い人でも事故に遭わないとも限りません。

海外での治療における、保険金高額支払い事例

国名内容支払い保険金
アメリカコンビニで買い物中に意識を失い救急車で搬送。心不全と診断され25日間入院。医師・看護師が付き添い医療搬送。2,347万円
アメリカ空港内で意識を失い救急車で搬送。感染性心内膜炎と診断され15日間入院。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添い医療搬送。2,295万円
アメリカ高速道路を走行中に車が横転し救急車で搬送。全身強打による多発外傷と診断され家族が駆けつける。2,113万円
ハワイ往路機内で意識を失い着陸後に救急車で搬送。脳梗塞と診断され16日間入院。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添い医療搬送。1,833万円
ハワイビーチで遊泳中に溺れ救急車で搬送。急性腎不全・溺水による呼吸不全・誤嚥性肺炎と診断され5日間入院。家族が駆けつける。1,564万円
アメリカ空港到着後、呼吸困難を訴え救急車で搬送。肺塞栓症・肺炎・肺結核と診断され49日間入院・手術。家族が駆けつける。9,335万円
ハワイ嘔吐物を飲み込み気管に入ってしまい救急車で搬送。胃腸炎・肺炎・敗血症と診断され16日間入院。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添いチャーター機で医療搬送。6,080万円
アメリカ歩行中に車に撥ねられ救急車で搬送。脳挫傷・くも膜下出血と診断され33日間入院・手術。家族が駆けつける。5,664万円
南アフリカクルーズ船内で胸の痛みを訴え、下船し救急車で搬送。気胸・肺炎と診断され36日間入院・手術。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添いチャーター機で医療搬送。2,414万円
ブルネイクルーズ中に下痢・嘔吐・食欲不振等で衰弱したため下船し受診。肺炎と診断され123日間入院。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添いチャーター機で医療搬送。1,888万円

https://hoken.kakaku.com/insurance/travel/select/cost/

こんなにまで医療費が高額ですと時間や労力を伴ってでもその後の生活等を考慮すると健康保険でも申請したくなりますよね・・・

「健保でも一部払い戻しの可能性がある」と知っていれば

一般の海外旅行保険給付申請用書類を準備するついでに

健保申請必要書類もらっておけるので二度手間にならなくていいですね。

現地で必要な書類をダウンロード、プリントアウトできる環境にあるならば是非試してみてください。ダウンロードは以下から↓(医科と歯科に分かれています)

(会社に勤務している方)全国健康保険協会 

*(個人事業者等)国保加入者は役所の健康保険療養費担当窓口で問い合わせてください。

もし重症だと自分ではとても準備できる状況ではないでしょう。

そのような場合はこんな制度があることと伝えて家族や友達に手伝ってもらってください。

一度帰国してしまうと再渡航して書類を整えるのは大変なので現地で是非済ませてから帰国を。

最大2,500万円の旅行傷害保険

払い戻しはどのくらい戻ってくるの?

現地で実際に支払った額でなく、

日本国内で治療した場合の金額を基準に計算されます。

そこから自己負担相当額が差し引かれた金額が療養費とされています。

(この自己負担相当額はどのように算出されるのかはわかりません)

例えば一番上の表を例にすると フランスで虫垂炎で手術の場合

日本で治療すると約60万円、フランスでは約109万円。

実際に現地で109万円支払ったとしても60万円までしか審査の対象にならないということだと思います。

そしてその60万から己負担相当額を引いた金額が支払い対象額となります。

まとめ

いかがでしたか?

渡航先によっては救急車を呼ぶだけでもすごい金額をとられてしまうのですね!

海外旅行保険に加入してから出かけるのはもちろんですが、あまりにも高額な負担があった場合には

健康保険の制度を思い出して利用することも検討してみてくださいね。

*海外医療情報センターでは申請の代行サービスを行っているみたいです。

翻訳などの手配は面倒なのでこういう機関を利用するのもいいですね。

 

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