ファテイマはリスボンから南へ123km、ポルトガル中央部に位置する国際的に有名なカトリック巡礼地です。
元々は田舎の村でしたが、1917年に起きた奇跡(聖母出現)によって一躍有名になったのです。
その後1930年に教皇がこの地に巡礼する者への贖罪(免償)を宣言したことによりポルトガル全土だけでなく
世界中から巡礼者が訪れるようになりました。
5月13日はファティマの記念日で、歴代ローマ教皇が巡礼に訪れたりしています。
ファティマはスペイン巡礼サンティアゴ・デ・コンポステーラへ行くポルトガル人の道の途中でもあり
スペインへの巡礼者が立ち寄る重要なスポットでもあります。
目次
ファティマ奇跡の物語
第1次世界大戦中の1916年、ファティマに住む牧童(ルシアとフランシスコ&ジャシンタ兄妹)の前に天使が現れお祈りの仕方を教え始めました。
そして翌年1917年5月13日、村から少し離れた場所で遊んでいた3人の前にマリア様が出現したのです!
マリア様は子供達に6か月続けて毎月13日に同じ場所に来るようにいいました。
そして3度目に出現された時に3つの予言を子供達に残します。
★1つ目:死後の地獄は存在することについて。
★2つ目:第1次世界大戦は終結するが人々が神の御心に従わないならより大きな戦争(=第2次世界大戦)が勃発するということ。そしてロシアの共産主義革命について。
★3つ目:1960年までは秘密にすることが前提だったので長らく伏せられていましたが後に1981年のローマ法王暗殺未遂事件のことだったと公表されました。(3番目の予言にはもっと重大なことも含まれていて今も隠されているらしいです。)
3回目の出現の際には1000人近くの人が立ち会っていて、その時人々にマリア様は見えなかったものの
強い閃光とともに白い雲が降り立ち、再び空に登っていくのが見えたそうです。
そして5回目の時(1917年10月13日)にも約3万人ほどの前で(予言通り)空を移動する球体や白い花びらのようなものが空から舞い降りる等、様々な奇跡が目撃されたとか。
1930年になってローマ教皇庁もこの奇跡を認め、
教皇ピオは「同地を巡礼する者は免償(有限の罪の免除)を行う」
と宣言し、5月13日をファティマ聖母の記念日と定めました。
事件後、お告げに従って教会
=バジリカが建設されました。https://www.fatima.pt/es
ファティマへのアクセス
リスボンから電車で約2時間。旅行会社時刻検索&予約サイト(日本語)
高速バスで約1時間半。Rede社
(Rede社のアプリをダウンロードするのはこちら https://apps.apple.com/pt/app/myrne/id551700536?mt=8
ダウンロードしておくとルートや時刻表チェック、予約もできて便利です)
ポルトガルでは長距離高速バス移動が安く、車内も快適なのでおすすめです。
私はコインブラからファティマへ日帰り旅をしました。(片道1時間ほど)
タクシーならUberで約60~77ユーロ(約80㎞)
ファティマはコインブラから南下した位置にあるのでリスボン行きのバスで途中下車します。
バス停で下車したら徒歩数分で教会に到着。
さすがの巡礼地!
バス停から教会への道は迷いようはありません。
目抜き通りの両端には沢山の土産物屋、飲食店、巡礼者用のホテルや宿が並んでいて
人の流れに沿って歩けばすぐにたどり着けました。
かつて村だったとは想像できないくらい、整備され小ぎれいな街です。
それもそのはず、5月13日の記念日には世界中から数万人が集まるからです!
バジリカは意外とシンプルだった!
私は敬虔なカトリック教徒でもなく、ポルトガルに行く前から是非訪れたい!と思っていたわけではなかったので
事前の下調べ、知識は何もありませんでした。
リスボンからポルトへ北上するにあたってどこかに立ち寄ろうと思って検索したらひっかかったので行ってみることにしたのです。
「有名な聖地なら見ておこう!」それくらいの考え。
ですから聖地というイメージからバジリカはとても古めかしくて歴史があって荘厳な感じのする建物を想像していました。
ところが、実際に行ってみるとだだっ広い広場の前に真新しい建物があるだけ。
え??これだけ?Σ(・□・;)
正直な感想はこうでした。
後から知ると聖母出現祭の5月13日はこの広場全体がカトリック信者で埋め尽くされるというのですから
これくらいの広さは必要なのでしょう。
↑マリア像が安置してある建物
バジリカ↑ 近代的な建物
お祭りの時に神輿に乗って巡行されるマリア様は小ぶりでケースに入っておられました。
建物も数十年経ってるわりには新しい感じでした。
3人の牧童のうち2人の兄妹は予言通りにすぐに天に召され、生き残ったルシアが修道女となりお告げによってバジリカを建てました。
そんなバジリカはそっけないほどに何もなく(苦笑)驚いてしまいました。
大学の講義室のような雰囲気・・・
広場中央にはヨハネパウロ2世の像もありました。
フーン、こんなものなのか・・・とちょっと期待外れの感がありましたが、次に
3人の牧童たちの記念館=Casa das Candeias へ行ってみました。
Casa das Candeias(ランプの家)
元は普通の住宅を改装したのでしょうか、小さなスペースに子供達に関する資料や
ローマ法王に関する品が展示されていました。 https://pastorinhos.com
全く予備知識がないまま訪れた私には奇跡のお話の概要がわかってとても参考になりました。
バジリカから徒歩数分の所です。
当時をイメージしやすい 蝋人形館
蝋人形の精度はともかくとして、この人形館は良かったです!
ポルトガル語や英語ではいろいろ記してあっても今一つイメージが湧かなかったのですが
物語の場面を細かく一つ一つ再現してあったので
ほー、こんな感じだったのね、と事の成り行きが想像できました。
子供達の顔がちょっと老けているのに笑ってしまいましたが、
当時の人々の暮らしぶりや教皇庁に奇跡を認めてもらうまでの流れ等がわかって
参考になりました。公式サイト→https://www.mucefa.pt/en/
こちらもバジリカから歩いてすぐの所にあります。入場7.75ユーロ オンライン予約可
ファティマで一番おすすめの場所 Loca do Cabeco(平和の天使)
奇跡の起きたと言われるファティマ、当時の様子を資料展示から何となくわかりましたが、
真新しいバジリカや整然とした街並みからどうもピンと来ない感じでした。
そこで天使が子供達の前に現れたとされる場所に行けると知ってそこにも出かけることに。
この場所が意外にもとても良かったのでファティマまで来た甲斐があったと思いました^^v
バジリカから少し歩くと住宅街、国道にロータリーがあり、道路を渡ると石畳の田舎道へ入っていきます。(Way of the Little Shepherds というハイキングコースの案内のある所)
「あ、もともとこの街はこんな田舎だったのね~」と思える素朴な風景。
オリーブの木が立ち並ぶのどかな光景に心ウキウキ❤
道沿いに小さな祠のような建物があり番号が振ってあります。(Station of the Cross 1から12まであり)
こういう風景が見たかったのよねー、と思いながら先へ進みます。
道案内の印があるので迷うことはないのですが、歩いても歩いても目的地が・・・
やっと途中に目印のマリア様スポット(valinhos)に到着。
ロウソクが沢山供えてありました。
ここで一休みしながら先へ進みます。
風景もより一層人里離れた感じに・・・
この日は秋晴れの気持ちいい天気だったのですが気温が高く、汗ばむ陽気。
日差しを避けるところがないので正午近くにここを歩くのは疲れました。
「え~、まだ???」となりながら暫く歩いていくとようやく看板が!
大き目の石がゴロゴロしている場所を入っていくと、柵の向こう側に天使と子供達を模した像がありました!
このスポットの名前はポルトガル語では「狂った頭」?なのに英語名は平和の天使となっています。なぜ?
「おー、なるほど。子供達はこんなところで放牧している時に天使様に出会ったのね」と思えるのどかな場所でした。
パワースポットとかそういう感じの場所ではなかったですが、個人的にはここまで来て
「ファティマまで来たぞー」という実感を持てました^^。
帰り道では街の風景を見下ろせる小さな教会とキリスト磔の像(Hungarian Calvary ここも真新しい感じ)に立ち寄り、
元来た道をまた汗だくになりながら進みました。
ファティマに行くなら是非この場所も訪れてみて下さい!
片道2.6キロ(30分以上)
夏場に出かけるときは日射病対策を!
https://www.fatima.pt/en/pages/places-of-the-apparitions
昼夜
いかがでしたか?
ファティマを訪れるのは
やはり5月13日のお祭り時を狙っていくのがベストかと思います。
ここは建物を見学するというよりは
人々と一緒に祈りに参加して感動を共有する、
そんな場所なのではないかと思いました。
お祭りの時は昼だけでなく是非1泊して夜間の幻想的な数えきれない灯の中での祈りも体験してみたいものです。
沢山宿があるとは言え、祭りの時は予約しずらいと思うので行かれる方は早めの手配を。