アラフィフ女ポルトガル一人旅9 リスボンから日帰り!テンプル騎士団と所縁の深いトマールへ

古くから栄えたトマールとは

トマールはポルトガル中部(リスボン北東約130km)に位置する古代ローマ時代からある都市で、テンプル騎士団と深い関りを持った土地です。

1160年、世界遺産となっているキリスト教修道院の建設が始まり、テンプル騎士団の本部とされました。

テンプル騎士団とは
テンプル騎士団は1119年創設の中世ヨーロッパで活躍した騎士修道会
エルサレムへの巡礼者をイスラム勢力から(人身的にも金銭的にも)保護する目的で創設された。

騎士団の資産や王族貴族からの寄進された土地を換金するなど国際的財務管理システムを構築、莫大な資産を用いて聖地や中東地域に多くの要塞を設置し騎士を常駐させた

イスラムから土地奪還後はその役割が減少していくにもかかわらず、数々の特権(一切の無課税、商業活動、金融活動)を得て騎士団の力は肥大化を続けたためやがて他の修道会や商人から批判を受けるようになった。そのような状況の中、財政難にあったフランスのフィリップ4世が騎士団の莫大な財産に目をつけ策略によって異端の汚名を着せ、財産を没収、活動を禁止した。

1314年にテンプル騎士団の活動が禁止されるまで約150年間、トマールはテンプル騎士団の重要な活動拠点だったのです。

その後はキリスト教騎士団が代わってトマールを統治し、

エンリケ航海王子が団長を務めたそのキリスト教騎士団が1500年代初頭まで

大航海時代に占領した土地でのキリスト教布教活動に貢献したそうです。

又、同じころスペインではユダヤ人に改宗を迫る異端尋問が始まり多くのユダヤ人が逃げてきたことから、

トマールはユダヤ人とも深い関りがあります。

裕福なユダヤ人たちによって新たな交易や技術が持ち込まれ、町は賑わったそうです。

そして近代においてはポルトガルの中でもいち早く産業化されて

織物、製紙、ガラス、絹、石鹸等の工場が建設されて栄えました。

現在は多くの工場は閉鎖して世界遺産を目当てにやって来る観光客相手の観光産業や

製紙、陶磁器、食料品等を産出しています。(Wikipediaより参考)

さて、このような歴史のあるトマール、

世界遺産の修道院が見逃せないとのことで訪れてみました。

トマールへのアクセス

トマール行き 掲示板 トマール行き 鉄道  トマール行き 鉄道車内

Lisboa Santa Apolinia 駅からR4417で22駅1時間55分

(聖地ファティマへは40㎞車なら40分ほどの距離)

まずは世界遺産 キリスト教修道院へ

キリスト教修道院(Convento de Cristo)は12~16世紀の間に建築された修道院で、1983年に世界遺産に登録されました。

トマールの鉄道駅からは北西の方角へ約15分、約1.2kmです。

途中から坂道になります。

坂を登りきると古めかしいお城の様な修道院の建物が目に入ってきました。

トマール 修道院への坂道 トマール 入り口付近

騎士団が居たとあっただけあって修道院というよりは要塞のような佇まいです。

青色の部分がマヌエル1世時代に建設された部分。赤色がテンプル騎士団時代、緑色の部分がエンリケ航海王子の時代に建設されたことを示している。Wikiより

トマール 修道院 回廊

入り口を入ると回廊や中庭は派手な造りもなくシンプルめですが・・・

屋内はとても豪華で煌びやか!

(ロトンダと呼ばれる円堂、12世紀建設のロマネスク様式)

トマール 修道院内部1

柱1本、1本の凝った装飾、天井の色鮮やな紋様、デザイン、彫刻像の多様性に驚かされます!

かつて財力のあった修道院だとよくわかる内装です。

トマール 修道院3 トマール 修道院2 トマール 修道院6トマール 修道院4

テンプル騎士団員になるには入団儀式を経る必要があったそうですが、

宣誓が行われたであろうと思われる場所に立つと、

この建物は祈りの場と言うより誓いの場だな、と感じられました。

礼拝堂の傍には厨房や倉庫の跡があり、修道士たちが暮らした小部屋も見学することができました。

(↓この辺りはいたって質素)

修道士たちの部屋へ続く

外部からではわからない見どころ

坂を登り修道院を(要塞)外壁から見ていただけではわからなかったのですが、

中の回廊から階段を登って建物の外壁をあらためてよく見ると

建設当初の様式にマヌエル様式を加えた、とあるだけあってそのユニークな造りに見入ってしまいました。

トマール修道院 回廊の彫刻部分

マヌエル様式とは

15~16世紀にかけて流行した建築様式で大航海時代に得た利益をもとに

豪華な装飾を施した建物が建てられた。そのモチーフの多くが船や海に関するもの

船、船の窓、地球儀、錨、鎖やロープの結び目、海藻、波、サンゴ、貝等。

一見してマヌエル様式と判別できるのでわかりやすいです。

トマール修道院 回廊を上から望む

礼拝堂部分の外壁も必見!凝った彫刻デザインに苔むしているところが歴史を感じさせます。

トマール修道院 礼拝堂外壁2 トマール修道院 礼拝堂外壁1 トマール修道院 礼拝堂外壁3

ヨーロッパではあちこちで石壁の教会などを見てきましたが、

ここほど「苔」がいい感じで生えている壁はみたことがありません。

訪れた時は雨天だったので苔が余計に目立っていい仕事をしていたのかも。^^

トマール修道院 礼拝堂外壁 トマール修道院 礼拝堂外壁から市街を望む

営業時間(季節により変動)や入場料は公式サイト(英語)にてご確認ください。

修道院を見学した後は坂を下って街の中心部へ向かいました。

坂の途中には昔ながらの古い家やポルトガルならではのタイル表札なども見かけて

‘’ぶらり一人旅‘’感を満喫できました。

トマール 古民家ポルトガル 表札

街中心部も素敵

トマール市街  トマールの石畳キリスト騎士団のマーク

トマールの街の道は多くのところで石畳の道がモザイクになっています。

キャリーバックの人には向いていませんが、

見ているだけなら風情があってとても好きな光景です。

騎士団の街だけあって石畳にもそのマークが!

そしてお土産物もテンプルグッズが!

トマール 土産物屋

又、トマールはスペイン巡礼ポルトガル人の道の途上にあるのでカミ―ノマーク=道標もあちこちで見かけました。

トマール スペインへの道

サン・ジョアン教会とタブレイロス祭

街をぶらぶらしてカフェで休憩し、最後にサン・ジョアン教会に立ち寄りました。

サン・ジョアン教会

15~16世紀に建設されたゴシック様式の教会。隣の棟はマヌエル様式だそうです。

教会内部は質素な感じで取り立てて印象に残る場所ではありませんでしたが

一つ気になるものを目にしました。

お花がデコレーションされている装飾品????

タブレイロスの見本

いつものお決まりパターン:行き当たりばったり旅で詳しく知らなかったのですが、

このトマールはポルトガルでも最も華やかな祭りのひとつ

「タブレイロス祭」が開催される街で、この花のオブジェはその際に使用される道具だったのです!

15世紀にスペインから嫁いだイサベラ王妃が創立した修道院が

街の貧しい人々にパン&ワインを盆(タブレイロス)にのせて配ったことが由来と言われるお祭り。

4年に1度(7月)しか行われないお祭りで2019年はその当たり年で6月29日~7月8日まで開催されました。

期間中の1週間は街中で様々な催しが行われ、一番賑やかなのは日曜日のパレードだそうです。

何百人もの女性が写真のような花で飾られたパンを載せたお盆(約1.6m、重さ15㎏ほど)をパートナーの男性に付き添われながら街を練り歩くとか。Σ(・ω・ノ)ノ!

首を相当鍛えなくては!!

https://images.app.goo.gl/gxcPT82H8z38WnRPA

次回は2023年ですね!動画を見るととっても華やか!是非一度実際に見てみたいものです。


いかがでしたか?

トマールには修道院の他にもユダヤ教のシナゴークやマッチ箱のパッケージばかりを展示した美術館、教会など観光スポットがあります。

サン・ジョアン教会の広場周辺には多くのカフェやレストランもあり

徒歩で大体の場所には行けるので観光しやすい街です。おすすめ。

リスボンから電車でわずか2時間、観光客で溢れた場所でなくちょっと静かに一人旅を楽しみたい方には

うってつけの場所です。

4年に1度のお祭りを見れたら最高ですが、お祭りがなくても楽しめるトマールです。(*^^*)

 

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