リスボンから東へ約130㎞、スペインの国境に近い場所に1986年世界遺産に登録されたエヴォラ歴史地区があります。
紀元前からある世界遺産の街ということでエストレモスを訪れたついでにエヴォラも行ってみました。
11月のポルトガルに到着して7日目、最初の2,3日は汗ばむほどの陽気だったのが急転し小雨が続くヒンヤリした日が続き、とうとう体調を崩してしまった日でした。
エヴォラでは風邪を抑え込むためにビタミンを買って宿でおとなしめにしていたのであまりで歩いていませんが
巡ったところのレポートをしますね。
旅先で風邪かも?と思ったらすぐにビタミン剤をゲットして十分睡眠をとります。
目次
エヴォラの歴史
エヴォラは紀元前57年にはローマの支配下に入りローマ時代には交易で栄えていたそうで、
街の中心にはコリント式(ギリシャ建築様式の一つで特徴は列柱上部の複雑な装飾)の神殿が建設されました。
その後715年にイスラム系ムーア人に占領され1165年までその支配は続きました。
1166年にアフォンソ1世(初代ポルトガル王、父はフランス系、母はスペイン系、出生はギマランイス)の支配下に入った後は15世紀にかけて各時代の国王がこの地に滞在することが多くなり
王族の結婚式や政治も行われ邸宅や宗教的建造物、記念碑などが建設されました。
15世紀頃にはエヴォラはルネサンスの中心となり
芸術家が訪れたり大学も設置される等、学芸の都としても栄え、
16世紀には日本からの少年使節団が訪れたそうです。
しかし18世紀になってポンパル侯爵がイエズス会をポルトガルから追放し大学が閉鎖されるとエヴォラは徐々に衰退していきました。(Wikipedia参考)
リスボンからエヴォラへのアクセス
鉄道:
コメルシオ広場からバス728番で国鉄オリエンテ駅まで(23駅25分)。
オリエンテ駅で乗り換えてIC594エヴォラ行き乗車 11駅1時間半。
バス:
セテ・リオスバスターミナルから約1時間半から1時間45分
(約131km 約12ユーロ)詳しくはRede社サイトから
エヴォラの歴史地区はこじんまりして静か
世界遺産の街なのでさぞや観光客で賑わっているのかと思いきや、
意外と歴史地区は閑散としていて見どころも少な目でした。
ローマ神殿(ディアナ神殿)の遺跡は柱が数本残っているだけの廃墟で、5分もその場にいなかったかも><”
その隣にはポザーダがありました。
かつての修道院を改装して利用したホテルです。
客室の写真を見る限りでは設備や内装は近代的。
それほど歴史を感じさせる雰囲気はないように思えます。
(個人的意見ですが、同じポザーダなら近隣のエストレモスのポザーダの方が値段も手ごろ、
王族が使用した調度品や中世の歴史を感じることができる建物なのでおすすめです^^)
エヴォラ 大聖堂(Catedral de Evora)
大聖堂は十字架型の建物で、1166年イスラムの支配下から解放されてすぐに聖母マリアに捧げるために着工されました。
当初は規模の小さい建物でしたが後に徐々に拡張され装飾も豪華になっていったそうです。
回廊は14世紀のゴシック様式、礼拝堂は16世紀のマヌエル様式、主礼拝堂は18世紀のバロック様式。
メインファザード(主門)はローズ色の花崗岩を使用、2つの円錐状の塔は16世紀の作で、そのうちの一つは中世の彩色タイルで覆われています。
大聖堂を訪れたら是非上まで登ってくださいね。
雨天でエヴォラの街並みを見渡すことはできませんでしたが、塔を間近に見ることができ
広いスペースでゆったり過ごすこともできます^^
晴天なら北西の方向にローマ時代の水道橋も見えるかもしれませんね。
堂内にはポルトガル最古のオルガンがあり今も演奏されているそうです。
ポルトガルの教会には他国とちょっと違う特徴があって、その一つにカラフルな大理石を使っていることがあります。
藍やピンクのマーブル模様が可愛くて、金ぴかの祭壇より私は好みなのです。
例えばここエヴォラ大聖堂の主礼拝堂は18世紀前半に多彩色の大理石を使って建造されました。
緑はイタリアから、赤と黒はシントラからのものだそうです。
開堂時間:9時から17時 公式サイトhttp://www.evoracathedral.com/
カダバル宮殿 Cadaval Place
写真の様な建物からここが宮殿とは想像しにくいのですが、
中に入ると王侯貴族の暮らしぶりがわかる施設となっています!
公式サイト: https://www.palaciocadaval.com/index-en.html
荘厳な門をくぐりまずはチャペルへ!
ポルトガルの教会の多くにアズレージョが施されていますが、
大体は装飾のアクセント程度の面積です。
しかしここのチャペルはなんと壁一面がアズレージョ!!
白と青のコントラスト、正面の主祭壇が黄金色という配色。溜息が漏れる美しさでした。
私はポルトガルでアズレージョ体験をしたのですが、タイル1枚に簡単な絵付けをするだけでも
大変だったのに、
タイル素焼き→下絵→タイルに下絵を写し取る→絵具で描く→タイルを焼く
→各タイルを組み合わせて一つの絵に仕上げる
この行程を経てこんな巨大な作品を作り上げるにはどれほどの労力と時間がかかったことか!
想像するだけで気が遠くなるくらいの技です。
教会に続いて宮殿の一般公開されている部屋を見学しました。
昔の武器や御輿、アンティークの家具や近代使用されていたヴィトンのバッグまで!
部屋や展示の規模は大きくないのですが
ここは今も王侯貴族のファミリーが使用しているようで家系図もあり、
「現在も使用中」という生活感が伝わってくるところが良かったです。
食卓や厨房の様子も見ることができました。
又、中で一番印象に残ったのはポルトガルの織物。
色合い、デザインが凝っていて私好み❤
花と動物のモチーフ、色鮮やかな織物。
何も知らないと通り過ぎてしまいそうなくらい外観はシンプルですが
見どころが多いので是非立ち寄ってみて下さい。
エヴォラ骸骨礼拝堂 Capela dos Ossos
エヴォラにあった42の修道会墓地から集められた約5000体の人骨により16世紀に建てられた礼拝堂が大聖堂のすぐ近くにあります。
一体どんなところか行く前から興味津々、でもちょっと怖い感じもする………
実際に行ってみると意外に明るい雰囲気にびっくりしました(*^^*)
入り口のメッセージ。入る前は解りませんでしたが出るときになってようやくこの意味に納得。
なぜこんな人骨を使った礼拝堂を建てようと思いついたのか?
不思議でしたが、理由はありました。
まず当時ペストが流行して命を落とした信者や修道士が多かったという背景があり、
その遺体を処理する場として遺骨を利用した修道士たちが瞑想する場所=礼拝堂を創設しようと考えられたようです。
壁や柱に所狭しと埋め込まれた人骨と頭蓋骨。圧巻です!
陰気な空間で人の怨念でも残ってそう、そんな想像をしていたのですが全く違いました。
窓からは陽光が射しこみ、柔らかいライトと天井の色使いもパステルカラーだからか
陰気な感じは全くせず。
骸骨も既に装飾の一部であって、かつてその骨に人の肉がついていたとは
想像できませんでした・・・
見た感想は、「いつか自分もああいう風になるんだ・・・」
「魂が抜けて肉体が滅びたら誰もがああなる、ただの物体になるんだ。」
修道士たちはここでどんな瞑想をしたかわかりませんが
「死」と向き合う、そこから何か「生き方」に関すること、
世の真理みたいなことについて考えていたのかもしれません。
入り口のポルトガルの意味は
「私達はあなたを待っている……」
そう、いずれ誰もがこの姿になる、決して怖がることはない、
そういうメッセージとして受け取りました。
キリスト教におけるドクロは「死を連想せよ」といった意味合いがあり、ラテン語で「メメント・モリ/自分がいつか必ず死ぬことを忘れるな」といった意味合いの警句である。「死を記憶せよ」と訳され、芸術作品のモチーフとして古くから広く使われ、教会や絵画などでもドクロを用いた芸術作品はよく見られます。現代キリスト教の中では、死への思いから現世での楽しみ・贅沢・手柄などは空虚でむなしいものであることを強調するものである。
開館時間 9時から18時半 5ユーロ(詳しくは公式サイトにて要確認)
エヴォラでの宿 Embraceエヴォラホステル
エヴォラで選んだ宿は好立地にあるエンブレイス ホステル。
歴史地区の中にあり、どの観光スポットに行くにも5~10分程度。
食事するにも買い物をするにも超便利!
バスターミナルや鉄道駅からは約1km(徒歩15分ほど)で
でこぼこ道をキャリーを転がして歩くのはちょっと面倒ですが
宿を起点に観光するには最高の場所でした。
レセプションのお兄さんは感じよく
午前中、チェックインタイムより早く到着しましたがすぐに部屋に案内してくれました。
窓があるシングルルームで、狭いですが清潔感溢れる部屋は居心地がよかったです。
風邪気味だったので部屋ですぐに横になれてありがたやー。
掃除もされていて文句なし。
朝食はパンとドリンクが無料で提供されていました。
シングルの個室は1泊約3600円。^^
詳しくはリンク先の写真を参考にしてくださいね。
予約はBooking comからしたのですが、
今はもうBooking comでは扱っていないようです。
宿に直接予約を入れてください。日本語ページもあります。
日本語予約ページ https://www.embraceevorahostel.com/ja-jp/contact
バスターミナルから約1km 13分、鉄道駅から約1.3㎞ 17分
食欲がなくても食べる気になれるポルトガルのごはん。あっさりめ。
そして食欲がないと言いつつも見たら食べてしまうスイーツ!
(ポルトガル卵黄クリームたっぷり!)
道端で見かけたハンバーガーの自販機。
いかがでしたか?
壁一面アズレージョの礼拝堂や人骨礼拝堂はなかなかお目にかかれるものではありません。
歴史地区は1日あれば人巡りできます。
是非時間があれば立ち寄ってみてください。
又、ポルトガルはコルク生産高世界一で良質のコルクが産出されます。
このエヴォラ近郊にはコルク工場が沢山ありエヴォラでは
ワインコルクを作った際に出る屑を利用して作った副産品やお土産が
売られています。
ジラルド広場から大聖堂へ伸びる(東西に走る)10月5日通りの
土産物屋に沢山並んでいるのでこちらもお見逃しなく。
↑この界隈です^^