コインブラはポルトガル中部に位置する都市で、リスボン、ポルトに次いで3番目に重要な都市として知られています。
その歴史は古くローマ時代まで遡り、教会・修道院や図書館、美術館、病院などの公共施設が坂の細い道に沿って所狭しと並んでいて
モンテゴ川から見上げる街並みは素晴らしいです。
城壁にレンガ色の屋根が並ぶ景色の中、一番高い辺りにひときわ目立つ建物が特に有名です。
その建物、コインブラ大学(ヨーロッパ最古の大学)を一目見たくて訪れました。
目次
コインブラの歴史
紀元1世紀にはローマ人によって都市が建設されたそうです。
8世紀になるとイスラム勢力が侵攻してきたために
コインブラ以北のキリスト教世界と以南のイスラム世界を結ぶ
商業の中心地となりました。
1064年にイスラム勢力からフェルナンド1世がこの地を奪還、
その後は貴族によって統治され、
レコンキスタ(国土回復戦争)時代の1139年、
アフォンソ・エンリケスがイスラム系ムラ―ビト朝を破って勝利した翌年から大聖堂建設に着手して1175年に完成させました。
カスティーリャ王国(スペイン)からの独立後は
アフォンソが初代国王となりコインブラを首都としてポルトガル王国を建国しました。
そしてコインブラは1255年まで首都であり続けました。
コインブラへのアクセス
飛行機:直行便がないのでリスボンかポルト空港から国内線で。
鉄道: リスボンやポルトからAP(主要都市を結ぶ高速列車)かインターシティIC利用。
中心地北西のコインブラB駅に停車するので中心地のコインブラA駅までは乗り換えが必要。
リスボンから約1時間半、ポルトから約1時間。
バス: リスボンから約2時間半 14ユーロ。
ポルトから約1時間半 12ユーロ。
コインブラA駅とコインブラB駅あたりにバスターミナルがあります。
関連記事:コインブラからファティマへ
ポルトガルの長距離バスは清潔でシートも快適。おすすめです。
*スペインの各地方(ガリシア地方、マドリード、セビージャ等)から国際バスもあり。
マドリードからALSA社、eurolines社 など 43~60ユーロ
地図の真ん中Redeはバスターミナル
Aはコインブラ駅、BはコインブラB駅。青く囲った場所はコインブラ大学周辺。
ランドマークのサンタ・クララ橋前の像からバスターミナルまで1.3㎞徒歩18分。
コインブラA駅とB駅の間は2.1km徒歩30分。Uber タクシーなら3~4ユーロで6分の距離。
コインブラ必見観光スポット!
世界一美しいと言われる図書館がある コインブラ大学
1290年にポルトガル第6代王ディニスによって創設された大学で、
バチカンからも神聖ローマ帝国国際高等教育機関の一つとして認められていました。
8学部があり約2万2000人が学んでいるそうです。(2013年世界遺産登録)
広場を囲むようにして白い建物、レンガ色屋根の校舎が並んでいます。
700年以上もの歴史がある大学は日本の大学とは建物の重厚さ、
キャンパスの雰囲気も全然異なりますね。
そしてまず向かったのは校内の中でも一番有名な豪華絢爛、一見の価値ありの図書館です!
1724年創設のバロック式、世界一美しい図書館と称される内部はいかに??!
入り口からして荘厳な感じがします。
入場には人数制限がありました。
内部の撮影は禁止となっていて写真はないので
グーグルマップからお借りした画像を・・・
16世紀から18世紀の30万冊にも及ぶ蔵書があるとのことですが、
金箔塗りの書棚に並ぶ蔵書よりも天井フレスコ画やアンティークの家具、
見たこともないほどゴージャスな壁から突き出たパイプオルガンに圧倒されてぼーっと見上げてフリーズすること暫し・・・
ここまで豪華にした意図まではわかりませんが、
確かに世界屈指の図書館に間違いはなかったです!
図書館の次に訪れたのは校内にあるPaco Real(王宮)。
こちらで目を引いたのは天井が金銀で彩られた「帽子の間」。
学位授与式などに使用されるそうです。
歴代の王侯貴族の肖像画が掲げられています。
他にもパステルカラーが可愛い部屋もありました。「謁見の間」。
アズレージョの色も華やか、絵のテーマも貴族風。
大学なのに博物館のような豪華さで、見かける人の殆どは観光客ばかり。
本当に大学生が勉強しているの?と思いましたが、
よくよく探すと教壇、教室、学食もありました!
学食の様子
往時の財力を伺わせる コインブラ大聖堂
コインブラの大聖堂は新旧2か所があります。
レコンキスタ勝利を収めたアフォンソ1世が建設させた旧大聖堂と
16世紀にイエズス会により建造され、司教座が移された新大聖堂です。
旧大聖堂
旧大聖堂は1175年に完成で要塞の役割も兼ねていました。
第2代国王はこの大聖堂で戴冠式を行ったそうです。
多くの大聖堂が後年大改築を重ねて建設当時の姿と異なる中、
この大聖堂の主建築物はポルトガル唯一、
今も純粋なロマネスク様式(11から12世紀にかけての建築様式で柱頭に凝った装飾を施す特徴あり)を留めているとのことです。
祭壇の装飾が緻密で目を奪われます~
柔らかい印象の像たち
↑タイル装飾は15~16世紀、セヴィ―ジャからのもの。
そして新大聖堂は国立博物館から道を挟んで向かい側にあります。
主祭壇等は多くの教会を見すぎてあまり感動はなかったのですが、
豪華なシャンデリアや司教座があるだけあって司教に関する展示物に目を惹かれました。
↑司教様はこんな金の手袋をされていたの??と思ってしまうお品。
新旧2か所の大聖堂は国立博物館を挟んで徒歩6分ほどと近いです。
建国当時の財政界人物も集った サンタ・クル―ス修道院
1131年に建造された修道院で、政治&文化において重要な地位を確立し
教皇庁からの特権や王家からの寄進で莫大な財を貯蓄していたそうです。
又知的・政治エリートの集う場所でもありアフォンソ1世のプロパガンダ機関の中心であったことから
アフォンソ1世は自らの意志によってこの修道院に埋葬されました。
初期の頃はロマネスク様式でしたが16世紀になってマヌエル1世の命により全面改装されマヌエル様式になったそうです。
*マヌエル様式とは:16世紀前半大航海時代の交易で得た利益によって豪華な装飾の
建物が王の命によりポルトガル全土に建設されました。
特徴は航海に関する装飾で、地球儀、鎖、錨、ロープ結び目、波やサンゴ等のモチーフ。
ここの礼拝堂も壁がアズレージョで装飾され、豪華な赤いパイプオルガンが目を惹きます。
マヌエル様式と言われますがリスボンの修道院やベレンの塔ほど特徴的モチーフは目につきませんでした。
↑贅を尽くした色彩大理石
修道院の中庭には「静寂の回廊」と呼ばれる青と黄のアズレージョの美しい廊下があります。
観光客相手のカメラマンがいるので有料で撮影もしてくれますよ。
修道院の隣にはサンタ・クル―スカフェがあり、
雰囲気がよさそうなので入りたかったのですが、
私が滞在中はずっと営業していなくて残念でした(( ;∀;)
その代わり、修道院の前で毎日焼き栗を売っているおばあさんがいたので
熱々の栗を買い食いしました。寒い時期には最高!
ポルトガルの栗は日本の栗と種類が違うので美味しい♪
じっくりゆっくり見たい マシャド・デ・カストロ国立博物館
1913年オープン、2014年リニューアルした外観は古めかしい、
でも内部は近代的設備の整った博物館です。(マシャド・デ・カストロとはコインブラ出身の彫刻家の名前)
博物館はテーマごとのいくつかの展示室に分かれているのですが、
まずは地下に進むよう誘導されました。すると~
古代の遺跡跡のような場所に辿り着きました。
それもそのはず、ここの建物はローマ時代の遺跡の上に建っていて
リニューアルしたとは言え元々は司教館の建物を利用しているのです。
その次、1階からは教会や遺跡跡から回収された柱や壁装飾の展示があり
続いて大航海時代=黄金期に作成された金銀を使用した豪華なコレクション、
修道院や祭壇で使用されていた装飾品、木製彫刻や絵画の展示等となっています。
木製彫刻の技には一番感動しました!
その彫りの滑らかさや彩色の艶やかさ、衣装の細かな動き有る
感じを出す表現力・・
日本の仏像とは違うカラフルな彫刻、これまた素晴らしい!!
今のポルトガルからは想像しにくいほど財政的に豊かな国だったことが伺われます。
又、博物館の渡り廊下から眺めるモンテゴ川の景色も素晴らしいですよ!
火曜日14-18時 水~日曜日 10-18時、月曜休
学芸都市:古都コインブラ必見スポット2 モンテゴ川西岸地域 へ続く