リスボン中心街コメルシオ広場から西に向かって行くと丘になっている地区がありアルファマ地区と呼ばれています。
かつてイスラム系ムーア人が支配していた時代はここが市の中心地でした。
急こう配の坂道、狭い路地が入り組んだ街並みは1755年のリスボン地震でも被害を受けることなく今も昔の面影を残しています。
16世紀まで王宮だったサン・ジョルジェ城をはじめ、
市内最古のリスボン大聖堂など歴史的に重要な建物や教会が集まっており
ポルトガル歌謡Fadoを聴ける酒場やレストランも多いことから
観光客は必ず訪れる地区となっています。
目次
サン・ジョルジェ城
要塞発祥は紀元前2世紀頃と考えられ、古代ギリシャ、古代ローマ、ムーア人と支配者が代わり
12世紀初代ポルトガル王の治世以後は王宮として用いられ、
14~16世紀は王国の公文書館でした。
ところがその後新王宮が他所に建設されたためにこの城の存在意義が失われ、
やがて兵舎や監獄として使用されたり
1755の地震以後は貧民の子供達の教育慈善団体の拠点にもなっていたようです。
現在は強固な城塞が残るのみで大砲やアフォンソ1世のブロンズ像以外は特に見るものはありません。
それでもここに多くの観光客が訪れるのは城塞に登れることと、
城前の広場からリスボン市内を一望できるからだと思います。
敷地内は閑散として遠い昔の繁栄は想像するしかないのですが、
様々な支配者の手から離れ今はとても平和な時間が流れているのを
放し飼い?になった孔雀から感じることができました。
野生でしょうか??とにかく自由に、鳩のようき回ってに歩いてびっくり。Σ(・□・;)
リスボン市内を一望!快晴なら言うことなしでした・・・
公式サイト 地下鉄ロシオ駅から徒歩15分(かなりの坂道)バス37番終点からすぐ。
リスボン大聖堂
12世紀、イスラム勢力からリスボンを取り戻した後、
モスクがあった所に建設された市内最古の大聖堂で
長い歴史の中で度々地震や火災に見舞われ礼拝堂、回廊が崩壊、廃墟とななったこともあります。
建設当初はロマネスク様式でしたが13世紀にゴシック様式の回廊が加えられ、
主礼拝堂は名士合祀殿(パンテオン)に改造されました。
14世紀の本格的な改修工事によって今の姿になっているそうです。
豪華な祭壇、カラフルな天井を見ていると災害で被害を被ったとは一見して解りにくいです。
印象的だったのは回廊部分、庭を掘り起こしてありました。
古代ローマ、アラブ、中世の遺構で、これを見ると本当に長い歴史を過ごしてきた土地なんだなと実感できました。
他にはとても細かい装飾を施したミニチュアの置物??に感動。
写真ではわかりにくいですが、人形1体のサイズは小指くらい。
絵に描くだけでも大変なのに宗教物語を立体化して色付けまでしてあります!
こんな作品は見たことなかったので驚きでした!
大聖堂の前では雑誌の撮影でしょうか?モデルさんがいましたよ。
(物乞いのおばあさんも^^)
大聖堂まではコメルシオ広場から歩いて7分程。
まだ坂が急になっていないところなので徒歩でも余裕で大丈夫。
大聖堂を過ぎると段々坂が急こう配になっていきます。
トラム(市電)とサンタ・ルシア展望台
リスボン大聖堂あたりから道は狭くなり勾配も急になります。
そんな細い道をトラムでゆっくり登っていくのはいかにもリスボンらしくて風情があります。
途中ではトラム同士が僅か数センチしかない間ですれ違ったりするのでスリルもあり!^^。
サンタ・ルシア展望台に到着するとルシア像の近くには
アズレージョで描かれたリスボン一望画を見ることができ、
遠くテージョ川には豪華客船が着岸しているのを見ることもできます。
サン・ヴィセンテ・デ・フォーラ修道院とサンタ・エングラシア教会
展望台から更に上へ行くと、「こんな狭くて曲がりくねった道によく線路を引いたものだわ!」
とびっくりするくらいの道があり、そこを登って行った先に
サン・ヴィセンテ・デ・フォーら修道院がありました。
元々は初代国王アフォンソ1世が建てた修道院でしたが19世紀になって大司教の宮殿となりブラガンサ家の霊廟となりました。
ブラガンサ家の王たち全てがここに眠っているそうです。
(*初代国王はフランス系のブルゴーニュ王家でしたが、そこから派生してアヴィス王家ができ、時代が下るとまたそこからブラガンサ王家ができました。20世紀初頭までの王はブラガンサ王家出身です。)
ということで、あまりこれと言って特徴ある場所ではなかったので
さらりと見学したのみ。
本来の目的地=泥棒市のある方へ徒歩で進みました。
ヴィセンテ修道院から徒歩5分、
泥棒市の開催されているサンタ・クラーラ市場の前に
ドーム型の塔が聳える教会があります。
サンタ・エングラシア教会です。
何の予備知識もなくただ立ち寄ったのですが、この場所はかなりのお気に入りになりました!
サンタ・エングラシア教会
16世紀に建設が始まったものの設計者が途中で亡くなったことにより資金が他所に回され
20世紀まで未完成のまま放置された教会。
ですが1966年にようやく落成され、今はポルトガル著名人を埋葬する
国立パンテオン(名士合祀殿)にもなっています。
建築は四方の長さが均等な十字架型に角は四角い塔というフォルム。
入り口=ファザードはバロック式で、中央のドームは20世紀になってから加えられました。
とにかく天井ドームが高くて広々とし、明るい空間の教会です。
上の方に登れるのですが、上部から教会内部を見下ろすとこの教会のフォルムの美しさに見とれてしまいます。(高所恐怖症なのでかなり怖かったですが・・・)
床と壁はバロック様式の色彩大理石なので上から見るとその模様もよくわかります。
下から見上げても、上から見下ろしても素晴らしい空間。
他所の教会のように過度な装飾がなくすっきりしているのもいいですね。
大航海時代の著名人、エンリケ航海王子やヴァスコ・ダ・ガマの記念碑もあります。とても立派!
ポルトガルに莫大な富をもたらし黄金時代の礎を築いた人達は今も国民的英雄なんでしょう。
パンテオンなので大統領、政治家、作家の他
国民的歌手&女優でファドの女王:アマリア・ロドリゲスのお墓もありました。
ここだけ新鮮なお花が供えられていることから今も庶民から愛されている女性なのかな、と感じました。
↑哀愁漂う歌声と歌唱は典型的にイメージするファドで、心の奥底まで響きます。
さて、この教会内部を見学しただけで去ってしまうのは勿体ないです!
是非ドームに登ってそこからの眺めも堪能してください!
私が訪れた時は快晴の青空とテージョ川の間に雲?霧?がたちこめ
雲海のように見えて素晴らしかったです。
↑サンジョルジェ城方面とテージョ川方面。晴れなら川が見渡せます。
入場4ユーロ。詳しい営業時間等はサイトでご確認下さい。
サンタ・クラーラ市場の泥棒市
サンタ・エングラシア教会の隣に広場があって
毎週火曜日と土曜日に蚤の市が開催されます。名付けて泥棒市。
ガラクタで「こんなものも売るの?」というものから
アンティーク、ヴィンテージ、日用雑貨や衣類までいろいろ揃っています。
値段がついているものもあればついていなくて交渉制のところもあります。
ポルトガルの陶器はカラフルで可愛いのでついつい欲しくなりますね。
ただ市街地の土産物屋で売っているものと比べて安いかどうかはわかりません。
外国人観光客だと吹っ掛けられるかもしれないので事前に土産物屋での相場を知っておくといいかも。
この時はまだポルトガルを各地を旅する前だったので陶器の購入は諦めました(( ;∀;)
リスボンからすぐに帰国する人で購入するつもりなら梱包材など用意して行くといいでしょう。
日本の様に丁寧にプチプチで包んでくれることは少ないです。
新聞紙で軽く包装する程度なので。
日本のように売り主がずっと待機して接客するという感じではありません。
商品を一通り並べたら後は売り場を離れて同業者とおしゃべりしていることもあるので、
見る方としてはいちいち寄ってこられないので安心?です。
私はアンテークの小物入れや磁器に惹かれました❤
目利きできる人なら掘り出し物を見つけられるかも~。
もちろんアズレージョ(ポルトガルタイル)も販売されています。
100年以上前のアンティークから最近製造されたものまでいろいろ。
この市の名前は「Feira(市、縁日) da Ladra(女泥棒)」。
修道女が路上で不用品を売っていた姿が泥棒に間違われたとか
盗品が売られていたとかいろいろ説があるらしいのですが、
多くの品は盗品とは思えないです。
しかし、アズレージョだけに関しては別のようです。
この広場で店舗を構えているちゃんとしたアンテークショップでなく、
路上で来歴の説明できないものを売っている店の品は盗品なので買わない方がベターです。
*毎週火曜日と土曜日(土曜の方が規模が大きめ)10時~17時
地下鉄青ライン(かもめ線)サンタ・アポローニャ駅から徒歩10分くらい
トラム28E, バス734 メル̚カド・サンタ・クラーラ下車すぐ
いかがでしたか?
リスボン市街地西側のベレン地区はテージョ川沿いの広々とした眺めのいい場所。
反対に東側のアルファマ地区は昔ながらの古い街並み、細い坂道に
幾つも教会や飲み屋等があり庶民の生活を垣間見ることができます。
どちらもリスボン観光王道スポットです。
次回はアルファマ地区のアズレージョ博物館、ファド博物館についてレポートします。
リスボン現地ツアーに参加するならこちらのサイトやアプリも便利。
無料ツアーもありますよ。Lisbon Guide Civitatis.com
一人旅でちょっと不安な人、外国人観光客とも交流してみたい人にはおすすめ。