アラフィフ女ポルトガル一人旅22 リスボンアズレージョ美術館、アズレージョ体験!

テージョ川沿いにアルファマ地区を通り過ぎ、シャブレガス地区との境に

国立アズレージョ(タイル)美術館があります。

アズレージョとはポルトガルではタイル全般を指す言葉

(*私は青=Azul から来ている言葉と思い青タイルだけを指すのかと考えていましたが多彩色のタイルも全てアズレージョだそうです)

ポルトガルの芸術、美術文化を語る上で避けては通ることができないくらいのポルトガル伝統文化と言えます。

ポルトガルの街を歩いたら必ずと言っていいほど

教会や、駅、公共施設等様々なところで出会えます。

かつての支配勢力=イスラム系ムーア人の影響やスペインとの密接な歴史があったからこそ築き上げられた文化です。

イル美術館(Museu Nachional do Azulejo)へのアクセス

コルメシオ広場からバス759、794が停まるIgreja Madre Deusのバス停の目の前にあります。

7駅11分。Uber タクシーなら8分4~5ユーロ。

白い大きな建物は一見特に何かありそうではありませんが

館内に入るとその敷地の広さ、展示物の充実さ、豪華な教会の装飾に驚きます!

アズレージョ美術館外観 

開館時間や入場料はサイトからご確認下さい。

美術館の歴史

美術館の建物は元々1509年レオノール王妃によって建てられた修道院です。

現在の建物は17世紀の建築に18世紀のバロック装飾が組み合わされたものだとのこと。

各時代、多種多様なタイルの展示だけでなく修道院内の教会、礼拝堂、聖具室等も必見の価値があります。

 

アズレージョの歴史

北アフリカのイスラム圏の国では古くからモスクに見られるような

幾何学模様をタイルにするという装飾文化がありました。

8世紀になってイベリア半島がイスラム勢力によって支配されると

同時にその文化もアラブ職人たちによってもたらされました。

ポルトガルに本格的にタイル装飾が入ってきたのは15世紀、マヌエル1世の時代です。

美術館では各時代のタイルが時代ごとに展示されていて見比べるとその特徴がよくわかります。

15&16世紀のタイル

王がスペインから(イスラム風)タイルを輸入して王宮を飾り、やがて教会や修道院の装飾にも利用された。

16&17世紀のタイル

タイル装飾が芸術として発展、リスボンにも工房ができる。

イタリアから「マショリカ技法」が取り入れられた。

*マショリカ技法:イスラムの幾何学模様ではなく人物、動物描写、歴史物語、神話、宗教話等を自由にカラフルな彩色を使って壁画風に描く技法

 

1580年スペインに一時併合された60年間は費用がかからず高度技術が必要ない

カーペットスタイル(パターン化したシンプルなもの、青と黄色)が流行し大量生産も開始。

17&18世紀のタイル 

スペインから再独立後はそれまでの色彩に緑やセピア色も加わり、絵柄は人物描写や風刺画も登場。

 

加えて中国の磁器の色や柄を模したタイルも製作されるが大半は青単色のものが多かった。

18&19世紀のタイル

再び華やかな多彩色が好まれ、絵はより緻密に。

1755年震災後、復興で建造された新建築物の多くにアズレージョ装飾が取り入れられた。

 

1767年にはセラミック工場が建設され大量生産が進む。

19&20世紀のタイル

1830年頃からブラジル独立後に帰国した移民が新居を建てるのにアズレージョで

外壁を装飾する等、需要が高まりやがて道路や商店、市場、公共施設にも普及。

そしてハンドメイドではないアズレージョが大量生産され庶民のアパートにも広まった。

その一方でハンドメイドを重んじる職人たちは芸術作品としてアズレージョを

製作しつづけ、今もその伝統文化は引き継がれている。

参考サイト:http://www.az-tileshop.com/aboutazulejo.html


アズレージョの制作過程

美術館に入館するとアズレージョ製作行程コーナーから始まります。

アズレージョ 製作工程1

↑こちらのタイルはスペインで主に製作されていた15,16世紀の製法。

アラブ風、ムデハル様式(スペイン残留イスラム教徒の建築様式とキリスト教建築様式が融合したスタイル)の柄。

粘土を型にはめ、柄ができたところに彩色し焼き上げると発色します。

(写真↓)見本は地球儀のモチーフなので大航海時代、

マヌエル様式(海や航海に関係するモチーフを使用するポルトガル建築様式)ですね。

アズレージョ 製作工程2

時代が移るとまず素焼きのタイルに絵を下書きしてそこに色を載せていく方法に変わりました。

アズレージョ 製作工程3
作業の流れ
1)粘土から素焼きタイルをつくる

2)素焼きタイルに釉薬をかける→瞬時に白に変化

3)下絵をトレーシングペーパーで写し取る。

4)写し取った絵の線を針などで穴をあけていく

5)タイルに紙を重ねてそこを炭の入った袋(ポンポン)で撫でていく

6)絵付け(タイルについた黒点に沿って色付けしていく)

色は500色くらいあるそうです!!

7)焼成する(1020~40度で6から8時間窯で焼き、その後冷ましてから取り出す)

8)組みタイル(パーツ毎になっているタイルを組み合わせて一つの絵になる)の場合は

組み合わせる→完成

動画で上記、両方の製作工程が見られますよ。


よく街で見かける組タイルのアズレージョ、行程が沢山あってびっくり。

中でも下書きをタイルに移す作業は想像するだけでも大変そう!

教会等で見かける壁一面の巨大な組タイル絵は

どうやって下絵をタイル一枚一枚に写していったのか???

気が遠くなりそうです。(@_@;)

又、焼き上げると発色し色が変化するので

製作途中で出来上がりの色を想像しながら描いて行くのも

経験と勘が必要なので大変なお仕事だと思います。

館内の教会も必見価値あり!

アズレージョ美術館 教会

修道院ってこんなに豪華でいいんですか?と思うくらい豪華!

他所と違うところは天井が宗教絵画で埋め尽くされていることです。

 アズレージョ美術館教会内部1

私はあまり派手派手しい装飾は好みではないのですが

ここは大聖堂や世界遺産の修道院のように人が多くなく

空間も落ち着いた感じだったのでとても居心地が良かったです。

アズレージョ美術館教会内部2 アズレージョ美術館教会内部3  

教会の華やかさとはうって変わって

館内の工房では古いタイルの修復作業が地道に行われているようでした。

 工房前には大量の修復を待つタイルが・・

館内のレストランも勿論アズレージョ!

館内にレストランがあるのですが、そこの壁もアズレージョ。

台所、厨房関係の絵が描かれていて

ランチをしながらそれらの絵を楽しめました。(*^^*)

時間があれば立ち寄ってみて下さい。

このアズレージョ美術館は見学するところが多く2時間くらいはうろうろしていたので

ここで一息つけて良かったです。

アズレージョ美術館 レストラン1 アズレージョ美術館 レストラン3 アズレージョ美術館 レストラン2

料理も丁寧に作られていて美味しかったです^^。

アズレージョ美術館 レストラン メニュー1 

アズレージョ体験も面白い!

アズレージョ体験ショップ

コルメシオ広場から川沿いに東に向かって歩いて行くと

外壁が凸凹した奇妙な建物=Casa dos Bicos(ビコスの家)を見つけることができます。

その3軒ほど先に間口の狭い、気を付けて見なければ通り過ぎてしまいそうなお店があります。

中に入るとやっとアズレージョを販売しているお店とわかります。

その店内でアズレージョ体験をさせてくれるとのことだったので

飛び入りでさせてもらいました!

アズレージョ体験1

1)まず自分の描きたい絵柄をサンプルからチョイス。

絵心のある人はオリジナルの絵もOK!

アズレージョ体験2 2)次に釉薬してある無地のタイルに

下絵が書いてある(既に穴の開いた)トレぺを重ね

アズレージョ体験3 炭の入った布袋を叩いてタイルに下絵を写し取ります。

アズレージョ体験4 アズレージョ体験5

3)見本を見ながら色の濃さ、線の太さを調整して描いていきます。

ここまで全てお店のおかみさんが手本を示してくれるので初めてでも大丈夫^^

私でも何とかできました!

 完成作品

焼きあがるまで時間がかかるので後日取りに行きました。

私の時は2日後。

送料を支払えば日本まで送ってくれるみたいです。

リスボン滞在時間が短い人はまずこちらで体験を済ませてから観光に行き

リスボンを離れる直前にピックアップしてはいかがでしょう。

本場既成アズレージョを購入するのもいいですが、

自分で描いたサイン入りのアズレージョを作るのもいい思い出になっておすすめです。

私は今鍋敷きにして使っています^^

ロージャ・ドス・デスコブリメントス

営業時間:月曜以外は9時~19時

詳しい時間や料金はHPのメールアドレスからお問合せください。(英語OK)

 


いかがでしたか?

美術館は市街中心部から少し離れているような気もしますが

実際はそんなに遠くなくてアクセスはいいです。

各時代、いろんな種類のアズレージョをまとめて見られるので

是非訪れてみて下さいね。

    

 

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