アラフィフ 旅女 リピーターにおすすめの街 悲恋物語と生ハムで有名なスペイン・テルウェルへ

スペイン東部アラゴン州に(アラビア語で雄牛という意味の)テルエルという街があります。

標高950mに位置する険しい渓谷や歯の様な形をした山、湾曲した尾根と言った地形に囲まれたこんな岩が↓がある場所で

 

マドリードからの交通の便はよくありませんが

サラゴサやバレンシア地方に行くついでに立ち寄ってみてはいかがでしょうか?

ハモン・サラーノ(生ハム)が好きな人は産地なので本場で味わってみて下さいね。

テルエルの歴史

テルエルも他のスペインの都市のようにかつてはイスラム教徒の支配下でした。

そのため今でも街の中心部に当時をしのばせる建築物が残っています。

13世紀レコンキスタ(国土回復戦争)以後はキリスト教化され、多くのユダヤ人が暮らしていたこともあって毛織物産業を中心として発展していました。

14世紀になるとユダヤ人たちは異端審問にかけられ死を選ぶか改宗するかを迫られてキリスト教に改宗していきました。

時代は下って20世紀になるとテルエルは険しい地形にあることが自然の要塞となり

沿岸部と内陸部を結ぶ重要拠点でもあったことからスペイン内戦で空爆や砲撃の大きな被害をうけ

支配者もたびたび代わり激動の時代を通過してきたそうです。

(1937年12月~翌年2月までの3か月に共和軍、反乱軍合わせて14万の死傷者がでました)

一般の外国人観光客にはスペイン内戦と言ってもピンときませんが

ひと世代前のスペイン人なら誰もが内戦時代のつらい時代を知っていると思われます。

私の友人の祖父はこの内戦で亡くなったと聞きました。

テルエルの玄関口:Escalinata del Ovalo 楕円形の階段

https://images.app.goo.gl/HnedDKxWLociuKhv8

鉄道駅からすぐ、市街地に入っていく前に大きな踊り場のある階段があります。

その規模の大きさと楕円形のラインが美しいをのデザインにまずびっくり!

煉瓦を積み重ねアクセントにタイル装飾が施されたムデハル様式の大階段!

まさにこのテルエルを代表する建築物で、この後街に入っていくと同じようなムデハル式建築物の数々と出会うことができます。

又、踊り場の中央には大きな彫刻画があるのですが、これも有名なテルエルの悲恋物語のクライマックスの場面。

(お話の内容は次項でご説明します^^)

階段背にして川の方に振り向くとこれまたいい眺めの景色が広がっています。

街の中心はトリコ広場(Plaza del Torico)

こじんまりとした広場で、シンボルの雄牛がある噴水の周りに

商店や住居が密集しています。

土産物屋や観光客向けの飲食店はほぼこの広場辺りにあります。

高級生ハムの産地ということで少しだけ友人に注文してもらいました。

バルでタパスとしてでもいいのでしょうが、

私達はパン屋兼カフェのテラスで

生ハムの小皿盛り合わせを甘いパン、コーヒーと一緒に試食。

塩味控えめ?というか薄く、口の中でとろける様な感じはわかりました!

お酒を嗜む人にはたまらないおつまみであることは確かです^^

本格的にしっかり食べたい方は隣のレストランが美味しそうでしたよ。

*Restaurante Torico Gourmet

何故テルエルの生ハムは有名なのか?

生ハムの最高峰と称されるハモン・デ・テルエルは一般の生ハム(ハモンセラーノ)と2つの点で違いがあります。

まずは豚。全ての白豚はテルエル内で生まれ飼育されたもののみで、最低でも生後8カ月体重130㎏以上の豚が使用されています。交配率に関しても血統が厳しく管理されているそうです。

そして豚だけでなくハムになるまでの環境(熟成)も異なります。テルエル一体はスペインでも一番寒いと言われるくらいに気温が低めで乾燥しています。その標高800m以上の地域に限って18カ月もかけて皮付きのまま自然に熟成されているのです。

以上のようなことからハモン・デ・テルエルは唯一DO(原産地呼称制度)に認定されているのです。脂ののり、控えめな塩味、濃厚な香りが特徴。ジューシーでくちどけの良いハムとなっています。

  

観光スポット 世界遺産 ムデハル様式の建築物

ムデハル様式とは

イスラム文化の影響を受けた中世スペインの建築や装飾の様式のこと。

*イスラムのモスクや建物の外観や基礎部分をそのまま利用して内部はキリスト教の教会や聖堂に改宗された建築物が多いです。

12世紀から16世紀にアラゴンやカスティーリャ地方で盛んでした。

テルエルにはそんなムデハル様式の建築が残っており、

そのうちの4つが1986年に世界遺産登録されているのです。

1)エル・サルバドル教会の塔(Torre de El Salvador)

テルエルの鉄道駅から坂道をゆっくり上がって行くと古い街並みの中心地へ入って行きます。

住居の外壁が両側から迫るような狭い通りを進んで行くとまず目に入ってくるのが

エル・サルバドルの鐘楼。

立ち止まってよく見上げると・・・(*”▽”)

関連画像

茶色と緑の組み合わせってあまり好きではないのですが、

ここの鐘楼は煉瓦の組み方が緻密で、そこに緑のタイルで幾何学模様の装飾がしてあり

これまでスペインの他所の場所でみたことのない建築物だったのでとても印象に残りました!

基部はアーチとなっていて通りはそのアーチをくぐってトリコ広場に繋がっています。

塔に登るとこんな感じだそうです。↓

Trip Advisor

2)サンタ・マリア大聖堂の塔、屋根、ドーム(Catedral de Santa Maria de Mediavilla)

「catedral de santa maria teruel」の画像検索結果

1171年から1257年にかけて建造された教会は1342年に大学の教会に昇格し、1587年にカトリックの大聖堂に昇格しました。

16~17世紀には様々な建築士によって改修増築が加えられ20世紀を迎えます。

20世紀に入ると内戦により大聖堂の構造に甚大な被害を受けましたが

戦後修復復元され2005年にやっと最後の修復が完成したそうです。

八角形の塔とファザードの紋様が美しい大聖堂。

陽光が射しこむ内部も素晴らしいです。

 

多くの祭壇画の他、典礼具もみることができます。

ムデハル様式の建築は外観だけでなく内部の天井(13世紀)の細工も見事!

大聖堂を見学していたらお昼までだと知らされました。

午後から結婚式が執り行われるとのこと。

外では新婦を待つ新郎の家族とフラメンコダンサーが・・・

スペインの結婚式では余興のためにフラメンコダンサーを招くこともあるそうです。(*’▽’)

3)サン・マルティン教会と塔(Iglesia de San Martin)

関連画像

大聖堂から北西の方向に徒歩で数分。

真四角の繊細なタイル装飾が美しい塔が見えてきます。

1196年には存在していたとされる聖マルティン教会の鐘楼。

鐘楼は1315年の建築だそうです。

4)サン・ペドロ教会と塔(Esglesia de Sant Pere)

旧ユダヤ人街に位置する教会で、土台と塔の部分は13世紀のムデハル様式、

その後14世紀に上部がゴシック様式に改築建造された建物です。

主祭壇は木製の彫刻、ルネッサンスの祭壇画があり・・

豪華な内壁と美しい星が煌めくような天井壁とアーチが見どころです。

19世紀に一度火事に見舞われ、その後ネオ・ゴシック様式で立て直されました。

教会の隣には「テルエルの恋人達」(次項参照↓)の霊廟=

Mausoleum of Amantes があるので是非一緒に参観してくださいね。

霊廟とサンペドロ教会共通の入場チケットも販売されています。

スペイン人なら知っている テルエルの悲恋物語

スペインにも「ロミオとジュリエット」のような実在人物のお話が残っています。(/_;)


13世紀、裕福な商人の娘イサベルは貧乏な家庭出身のデイエゴと恋に落ちます。

やがて二人は結婚を夢見ますがデイエゴに財力がないためにイサベルの両親に反対されます。

そこでディエゴは懸命に働いて持参金を用意するから5年待って欲しいと言い残して旅立ちます。

ディエゴは戦争に参加してお金を稼ぐために5年頑張りましたが、丁度帰還する前に

イサベルは良心の結婚話をずっと断ってきたにもかかわらず帰還の知らせがないからもう命を落としてしまったものと考え親の勧めた人と結婚することに決めてしまいます。

運命のいたずらか、イサベルが結婚したその日にディエゴはテルエルに帰還します。

デイエゴは新婚夫婦の寝室に忍び込んでイサベルにキスを求めますが彼女は夫に操をたてるために拒絶します。

再三の願いにもかかわらず応じてもらえなかったディエゴはそこで息絶えてしまいます。

その後イサベルは夫を起こして事の真実を話し、二人は亡骸をこっそディエゴの実家まで運びました。

葬儀の当日、イサベルは棺のところに進み出てあの日叶えてあげられなかったキスをディエゴの亡骸にします。

そしていつまでもディエゴの傍から離れないイサベルを不審に思った人たちが確かめに行った時、彼女の息は既に絶えていたそうです。

イサベルの夫は事情を知っていたのでそのことを人々に話して二人を一緒に葬ってあげることにしたそうです。

テルエルのお祭り イサベル・デ・セグラの結婚式(Las Bodas de Isabel de Segura)

1997年に地元の俳優団の人達が中世の衣装で

イサベル・デ・セグラの結婚式を再現しながら街を歩いたことがきっかけで

毎年2月の第3週目の木曜日から日曜日にかけお祭りが行われるようになりました

Las Bodas de Isabel de Segura 2019

https://www.hotelisabeldesegura.com/las-bodas-de-isabel-de-segura-2019-programacion-y-alojamiento/

テルエルの2月はかなり寒いと思いますが、機会があれば実際にご覧になってはいかがでしょうか。

その他の見どころ

美術館 (Provincial Museum of Teruel)

大聖堂の隣にはProvincial Museum of Teruel(テルエル美術館)があり

テルエルの歴史を知ることができる発掘品から小道具、民族衣装、キリスト教に関わるグッズ等が展示されています。

美術館公式HP

Viaducto de Fernando Hue(フェルナンド・ヒュー高架橋)

「Viaducto de Fernando Hue」の画像検索結果

スペイン20世紀初頭の重要な土木建築の一つとされる高架橋は

1929年設計士フェルナンド・ヒューによって設計されました。

川の上ではなく道路の上を通っていてサイドから見るとそれほど美しくないのですが

橋の上に立つと広々としていて眺めも良く、

記念撮影をするのに素敵な場所です。

時間があればこちらも立ち寄ってみてください。

夜はライトアップされます。

テルエルへのアクセス

マドリードからバレンシア経由(電車とバスで)

アト―チャ駅からAVE高速鉄道でバレンシア(Joaquin Sorolla)駅まで

約1時間40分 約58ユーロから 参考Renfe日本語サイト

乗り換えてバレンシアメトロJesusu駅からTuria駅まで 3駅5分

そこから徒歩4分でバスターミナルがあるので

Santander行きのバスに乗って1駅約1時間45分 約11ユーロ テルエル駅下車。

バスの時刻や運賃はこちらから

全ての所要時間合計 約5時間半。

バスは鉄道駅側でなく街の東側に到着するようなので注意。

マドリードから直通バス

1日2本くらい マドリード南バスターミナルから

14:00→19:00 約5時間 25ユーロ~

19:00→23:30 約4.5時間 25ユーロ~

詳しくはこちらのサイトで検索

*サラゴサ経由で 

パターン1)マドリードからAVE利用約1時間半 約40ユーロ 特急利用約4時間 約30ユーロ 

パターン2)マドリード南駅からサラゴサまでバスで約4時間半 約7ユーロ~

参考サイト

サラゴサから国鉄Renfe利用約2時間半 約21ユーロ  計4時間半~6時間半

公共交通機関はバスはなくて電車の利用のみ


いかがでしたか?

マドリード、トレド、バルセロナ、グラダナ、セビージャ、コルドバ・・

という有名な大都市観光スポットをもう回った人で

少しスペインの違う場所を尋ねてみたい、そんな人におすすめの街です。

バレンシアやサラゴサへ行った時に合わせてテルエルに立ち寄ってみられてはいかがでしょうか?

スペインの中でも特に冬場は寒いと言われる地方なので観光するには初夏から初秋までの季節いいと思います。真夏でも涼しめ。

テルエル観光局サイト

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