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織物から知るアゼルバイジャンの伝統文化 カーペット博物館
入口がわかりにくかったのですが、海側ではなく大通りに面したところから入館します。
エントランスと言う看板はありません。
まず手荷物検査場があってそれからチケット売り場になります。(ロッカーあり)
私は織物やカーペットにそれほど興味はなかったのですが
この博物館では飽きることなくゆっくり鑑賞しました。
なぜならただ絨毯を展示しているだけでなく、織物に関する情報を工夫して見せていたからです。
生活でどのように使用されていたかがよくわかる
アゼルバイジャンではありとあらゆるところに絨毯が敷き詰めてあり、
宮殿から一般家庭まで絨毯なしには生活できないのではないかと思う位必需品。
その織物文化は絨毯だけでなく、衣類、衣装ケース、毛布、ナップザック・・
その他もろもろに使用されていたことがわかりました。
伝統で夏には季節限定住居としてテント生活があったそうですが、織りを使った絨毯や民芸品は
生活空間を創造するのに欠かせないものだったそうです。
生産プロセスから織りの行程までを知る
まず原料となるもの(羊の毛刈り、洗浄、糸製造)や、どんな植物を染料にして
美しい色を出しているのかが紹介されています。
又、出来上がった絨毯を見ているだけでは「ふーん、すごいね」で終わってしまいますが
ここでは各展示絨毯の前にその柄がどうやって作られたのかを
デジタル技術を駆使して紹介してあり大変勉強になりました。
日本の織物とは異なり巨大な絨毯を制作するには経糸を垂直に立てて織り込んでいくみたいです。
絨毯に込められた意味や各地域の違い
素人の私からすればどの絨毯も似たように見えるのですが、
アゼルバイジャンの各地域でその柄、モチーフは異なり混める意味も違っているそうです。
●バクー 繊細な織りと温かみのある色合い、平均的には小さいサイズ、正方形や長方形
●クバ 毛足が比較的短く柔らかく光沢のあるウール、複雑な構成、幾何学模様等
●シルヴァン 小さくて平均的なサイズ細長形状
訪れるまでなかなか各地方の特色までわからなかったのですが、
各都市の歴史や絨毯の違いの説明もあって、この国の地方都市への理解も深まりました。
また、絨毯だけでなく、各地の特産=シルクプリントや刺繍、金属装飾などの展示や映像
その他建築様式の解説もあって
アゼルバイジャンの芸術文化全体を紹介しているミュージアムでした。
例えば シャキ:シルクプリントショール、刺繍 、室内木工装飾品(シベケ:ハーン宮殿の色ガラス窓が有名)
シャマキ:宝飾品 ケラギ/ラギチ:金属とゴールドアーム
その他伝統文化も
2階と3階が展示スペースなのですが、3階には女性の民族衣装の展示や
2階には結婚式前にどのような準備がされて
花嫁はどんな衣装を身に纏うのか、
又、子供たちが喜ぶ人形劇の様子がビデオで紹介されていてこちらも興味深かったです!
(気になる方は動画を観てね!)
入館料:10マナト(約960円)
外見からではわからない豪華な歴史博物館
市の中心街には上の写真のような、いえもっとこれより綺麗で豪華に見える建物が沢山あります。
窓にはシャッターが下りていてなんか暗い雰囲気の建物が歴史博物館。
刻まれた年号から1896年創立なのでしょうか。(ロシア帝国支配下、バクー油田世界産油量2分の1の頃)
資料には2008年にリニューアルした博物館でもとは石油王の邸宅だったそうです。
入口もこじんまりとしていて、まず荷物検査台があります。
博物館なのだからこんなものか、と思って見学していたのですが最後にびっくりさせられました!
石器時代から現代までの波乱万丈の歴史がここに!
荷物を預けて展示室に入り、一番気に入ったのはアゼルバイジャンの領土変化を
画像で示していてくれたこと!とにかく古代から王国が存在し、それが様々な帝国
ペルシャやモンゴル、オスマン、ロシアやソ連に占領されてきて
その度に領土の大きさがものすごく変化し、また地方自治政権もあったので
この国の歴史を把握するのは複雑で面倒なんです!それをわかりやすく図にしてあったのがよかったです!
各時代の征服者のことや装飾品、武具、ハマム文化の紹介、
近代に至っては石油が発見されてからの農奴の過酷な労働の様子等の資料
ロシアに支配されるようになってからの文化(音楽など)
ソ連時代の抑圧された人々の様子、
そして今も国民的英雄と慕われているヘイダル・アリエフ大統領の功績
そして昨年まで決着のついていなかったナゴルノ・カラバフ戦争の資料などなど
歴史が長い分、展示もかなり多くて最後まで見るのに時間がかかり
へとへとになるくらいでした(*_*;
最後に石油王の凄さを見せつけられた!!
展示が終わって、さて出口にというところから新たなスタートが始まりました!
なんと続いて出てきたのはまるで宮殿のような空間!
荘厳で豪華な広間が目に飛び込んできました。
そのデザインは一見ヨーロッパ風なんですが
よく見るとその柄や細工はイスラム風。見事に調和されています。
他にも会議室やビリヤードルームなども開放されていて
本当にため息がでそうなくらい。
その場を離れて今度こそ終わりだな、と思って階段を降りようとすると
ここも豪華な踊り場が!!絨毯を敷かれた階段に鏡張りの踊り場。
三方から自分の姿を見ることができます。
この最後のサプライズは全く予想していなかったのでテンションがあがりました(*’▽’)
はっきり言って、インスタ映えするスポットです!!
歴史展示物に興味のない人でもこの豪華な邸宅を見学するだけでも価値はあると思います。
おススメスです。
入館料:15マナト(約1440円)
動画